建物調査診断の結果をもとに修繕工事の計画のベースを作っていくわけですが、工事には当然費用が発生します。
そのための資金には限りがあるため、修繕工事の計画と資金計画はセットで検討すべき事項になります。
資金計画はすなわち長期修繕計画です。
通常、この長期修繕計画は、向こう25~30年程度の期間を見通して、修繕内容・時期・費用と各区分所有者の費用分担を
あらかじめ計画した修繕積立金の算出根拠となるものです。
ところが、分譲時に用意された長期修繕計画は、同じ規模・仕様のマンションの修繕内容をもとに作成する
『モデル比準法』という方法によるもので、実際には必要になる工事が含まれていなかったり、逆に不要な工事項目が計上されていたり、
精度に問題がある場合があるのです。
すなわち、この計画通りに修繕を進めていても、どこかで資金が不足してしまう可能性があります。
そのため国土交通省では、長期修繕計画を5年ごとに見直すよう勧めています。
こうした資金計画の確認や、必要に応じて計画の見直しを行いながら、長期的な修繕の計画方針を固めていきます。
そのうえで、直近の大規模修繕工事の範囲や仕様を、修繕委員会を交えて検討します。
必要に応じて設計コンサルタントは、管理組合全体に対しての説明会なども開催することになります。
最終的な総会での決議までをスムースに導いていくための合意形成も同時に図って行く必要があるためです。